万葉の時代から今日に至るまで、連綿と同じイメージが苔にはつきまとっています。「苔むす」という言葉で表されるように、長い時間が経過したこと、人気のなさや、侘しさ、あるいは世を捨てた人の有り様、わび住いをまで暗示させてしまうのです。

コケは世界中で1700種類あるそうです。 京都などの庭にもっとも普通に植えられているのが、ウマスギゴケ。山地から高山帯の明るい地上に多く見られる種類です。オオスギゴケも苔庭に使われています。水ぎわや湿原でよく目にするのがミズゴケ、「水」に生えるコケだとばかり思っていましたが、それは誤りで、水をたくさん蓄えることができるという意味だそうです。

名前を聞いただけでも姿が浮かんでくるのが…シッポゴケ、ススキゴケ、ユミゴケ、シラガゴケ、ヒョウタンゴケ、カンムリゴケなど…今すぐにでも、コケを探しに出かけたくなる呼び名ですね。
ひとつひとつはとても小さく、塊として蜜に寄り添っていなければ生きていけない植物。目の網膜自体には映し出されていても、ちゃんと意識をしていないと簡単に見過ごしてしまいます。

静寂の雰囲気をかもし出す、この不思議な植物は、日本人にとってはなくてはならない、心に物語を語る植物なのです。